東信蒸留所見学ツアー・小諸蒸留所編

2023/11/05 活動報告

【日時】10月2日水曜日 10:45~13:00
【場所】長野県小諸市、軽井沢蒸留酒製造株式会社「小諸蒸留所」
【出席者】 17名
【イベント報告文】
7月23日にグランドオープン。長野県内東信地区に新たに誕生した「小諸蒸留所」へ見学ツアーに行って来ました。
元カバラン蒸留所のマスターブレンダーとして世界に名を馳せたイアン・チャン氏を副社長に迎え、蒸留所の随所にチャン氏のこだわりやアイデアが盛り込まれていて、森の中にいるようなガラス張りの外観は、浅間山麓の自然になじむデザインとなっており、至る所に高品質の「東信カラ松」が使用されていています。
前半は、ポットスチルが見渡せるセミナールームにて、イアン・チャン氏自ら小諸蒸留所の自然を活かしたコンセプト、蒸留所が出来るまでの苦労した点や、リッチでコクのある酒質を目指した蒸留過程、今後の展望やウイスキー造りに懸ける熱い想いなどを、スライドと共に大変細かくお話をして頂きました。
後半は、2チームに分かれていよいよ蒸留所内見学へ。5000リットルの麦汁を抽出するフォーサイス社製のマッシュタンはワンバッチの仕込みに使う麦芽は1トン。発酵槽はステンレス製5基と木製5基の計10基で、今は1日1仕込み。
ポットスチルは初溜1基再溜1基となっているが、再溜機の方が大きいのが特徴で初溜液2回分約7000リットルを一緒にして蒸留。そうする事により理想とする酒質が得られるそう。
この見学コースで何より驚いたのは、ポットスチルが正面だけではなく真裏や真下も、その構造がしっかりと見れることでした。
その後、蒸留所の上の丘にあるウイスキー樽を真2つに割ったような半円型のウェアハウスを見学。現在2棟ある貯蔵庫は、ダンネージ式(4段)とパラダイズ式(5段)の併用で、1棟2000~3000樽の貯蔵能力があり、高さが13メートルもありました。
また、なるべく自然の風土や湿度での熟成を得るために、地面は土床が採用されていたり熱を取り入れる特殊なパネルが使われていたり、冬の積雪にも耐えられるよう薄くとも頑丈な外壁材や東信カラ松を使用したりと、細部まで細やかなこだわりが詰まった作りになっていました。注目すべきは、天井に付けられた9つの照明がリング状になっており、「天使の分け前の天使の輪」をイメージ。遊び心のセンスも光っています。
新たに長野県に誕生した、大自然に囲まれた小諸蒸留所を余すところなく解説して頂きましたイアン・チャン様、施設内を案内して頂きました冨士原様、加藤様、バーテンダー協会長野県支部の為貴重なお時間を頂きまして有難う御座いました。皆様の造るウイスキーが今後10年20年と、どの様に変化していくのか今から楽しみです。

各種見学コースが用意されていますので(要予約)、近くに訪れた際は足を運んでみるのも良いかもしれません。

ガラス張りの外観

イアン・チャン氏による小諸蒸留所セミナー

イアン・チャン氏(中央上段)と参加者一同

フォーサイス社製ポットスチル

向かい合う2棟のドーム型のウェアハウス

屋根の内側部に使われている「東信カラ松」